上杉謙信の鑑定願で選ばれた日本刀
戦国武将として知られているだけではなく、上杉謙信は愛刀家で日本刀の優れた鑑定家でもありました。そして上杉謙信の鑑定によって選ばれた刀は、息子の上杉景勝に引き継がれています。引き継いだものを上杉家の家宝とした上杉景勝は、特に気に入ったものを名刀リストとして「上杉家御手選三十五腰」をまとめたのです。
上杉家御手選三十五腰に選ばれている種類の1つが、「姫鶴一文字」です。鎌倉時代後期の福岡一文字派の作品といわれているもので、自分には長すぎると考えた上杉謙信が、鍛冶に刃を短くしてほしいと依頼したら、鍛冶の夢枕に鶴姫と名乗る美女が現れて、短くしないで欲しいと訴えたといった逸話から名前が付いたという説があります。ほかにも上杉家御手選三十五腰には、「謙信景光」や「五虎退吉光」などの刀が選ばれています。